まず、当ブログは魔法について語るブログなのだが、金融というのは魔法だと考えている。なので、退職金の運用についても該当するという前提で進める。もちろん、魔法なんて無いと考える人にこそ面白い話にしたい。


退職金が出る企業を前提とする。退職金制度として、確定拠出年金と確定給付年金、そして前払いが選択できる企業がほとんどだと考えている。旧来の最終月給×50のような制度ではない。
まず、どうして制度が変わったかというと、企業にとって退職金負担が大きい状態を小さくしようとしたからだ。要するに、絶対に従業員は損をする。だとすれば、いかに損をしない選択をするかという話になる。
確定拠出年金というのは、決まった額を信託銀行に預け、自分で金融商品を選択しつつ、60歳になったら受け取れる。確定給付年金というのは、決まった額を信託銀行に預け、運用は一切せず、金利も付かず、60歳になったら受け取れる。前払いというのは、確定拠出年金の代わりに、現金でボーナス時などに受け取れる。
さて、読者が社畜だとして、確定拠出年金と前払いのどちらかを選択するように迫られなかっただろうか? 新入社員ならば研修時に。恐らく多くの人が確定拠出年金を選択したはずだ、理由としては、所得税が掛かるからというのが大きいだろう。確定拠出年金には、取りあえず現時点では税金が掛からない。
確定拠出年金を選ぶと、毎年か半年に一度、自分の口座のお金がどのように増えたか、あるいは減ったかなどのレポートが届く。まあ、通常はほとんど増えていまい。100万円が102万円になっていれば御の字だ。読者がある程度若いとしよう。貰えるまでにインフレーションが起きたらどうなるだろうか? 貨幣価値がぐっと下がるのだ。その時に、たとえ300万円が計上されたとしても、物価が2倍になっていたら、そんなもんは役に立たなくなる。つまり大きなインフレが来たら、即アウトなのが確定拠出年金なのだ。これは確定給付年金も同じだ。読者が30歳くらいだとして、60歳当時の貨幣価値が現状を維持しているだろうか? 絶対に貨幣は価値を失っている。名目の数字としては増えたとしても、実質では損をしているのだ。
結論としては、金融商品というのは金融の魔術師が、大衆の退職金を巻き上げるために設定した魔法に過ぎないという話だ。
最初に話したが、企業は退職金の負担を減らすために導入している。もし、みんなが確定拠出年金を選択するとして、その選択は従業員にとって損が確定する。だって、みんながあまり損しない方を選択してしまうならば、制度を導入する意味がないではないか。
確定拠出年金というのは従業員の損が確定するのだ。前払いは損かどうかは確定していない。あなたの運用次第だ。所得税を払う? いや、払ってでもいいから、得な方法を探して欲しい。
それは若い内に思い出に使ってしまうという方法でもイイし、自分に投資して待遇のいい会社に転職してもイイし、事業を起こしてもイイ。あるいは60歳以降を見越して、うまい運用先へ注ぎ込んでもイイ。
新入社員になる人が、このブログ読んでいるか、いささか疑問だが語る。お奨めとしては、前払いを選択し、ゴールドやプラチナの積立にしておくのがインフレ対策としてバッチリだ。えっ? もう確定拠出年金にしたから、前払いにできないって? 分かってるつもりだ。そのように搾取される立場なのがあなただと気付いて欲しい。気付いたからには対策を打てるのだから。
ちなみに、確定拠出年金の商品ラインナップには、インフレに耐えられるような商品は1つもない。インフレになれば信託銀行は確実に儲かる。
インフレになるかどうか分からないし、インフレの事は考えても無意味だという人も現れるかも知れない。それが違うのだ。退職金という形で資金を集めた以上、インフレにした方が儲かると判断した金融資本がインフレを起こす。つまり、庶民の資産がどこに動いたかを見て、後出しジャンケンのような感じで金融市場が動くという状況が真実だと語りたい。例えば、庶民が株を買うと下がり、売ると上がる後出しジャンケンを想定して欲しい。この状況は、庶民が売ったか買ったかを見る事ができた上で実施できるのだ。
「退職金の確定拠出年金のデメリット、インフレでアウト」というタイトルだが、デメリットと言うより罠という言葉が最適だ。
なお、商品を企画したり、売り込むFPを責めたりするつもりは無い。業種にかかわらず、詐欺を実施するのが企業だというのが筆者の考え方だ。
テーマ : お金と労働の秘密
ジャンル : 謎